サステナビリティSustainable

ステークホルダーの皆様へのメッセージ

笑顔あふれる社会のために 代表取締役社長 日景 一郎

 アキレスグループの2024年度の業績は、売上高79,093百万円(前年比100.6%)、営業損失△436百万円(前年差521百万円)、経常損失△220百万円(前年差△48百万円)、当期純利益427百万円(前年差8,638百万円)となりました。営業損益は原材料価格・エネルギーコストの上昇・高止まりや円安による仕入れコスト上昇の影響等への対応として、生産性の向上、経費削減、価格改定の推進や新しい価値創造の取り組みを進めましたが、△436百万円の損失となりました。なお個別業績の営業利益は、554百万円(前年差1,855百万円)となりました。
 先行き不透明な経営環境下、アキレスグループは、マテリアリティ(経営上の重要課題)として、「事業基盤の強化と成長推進」を掲げており、高い利益を生み出し続ける企業に転換するために、今般、中期経営計画を策定しました。

 本中計では、3つの全社戦略と、事業基盤の高度化、ならびにサステナビリティ経営の推進を通じて、収益力を再構築・強化することを最優先課題としています。
 3つの全社戦略は、「選択と集中の徹底」「新たな価値の創造」「グローバル戦略の推進」であり、これらの推進により営業利益を最大化します。具体的には、アキレスグループの強みを生かせる「エレクトロニクス」「モビリティ」「メディカル&ヘルスケア」「コンストラクション&インフラ」「セーフティ・アクティビティ」を重点分野と位置づけ、その中でも、市場成長性と収益性が期待できるマーケットセグメントを特定し、経営資源を集中して成長の推進力といたします。一方、収益性の低いアイテム・カテゴリーの位置づけを再評価し、経営判断を行います。

中期経営計画の全体像

中期経営計画の全体像

 また、収益力の再構築・強化の指標として、以下の経営目標を定めました。

中期経営計画の定量目標

中期経営計画の定量目標

 2027年度の売上高目標は、2024年度実績から90億円増とし、内、半分強を海外市場で伸長させる計画です。米国の関税政策の影響は予断を許しませんが、目標達成に向け全社で取り組んでまいります。

 全社戦略を確実に実行するために、以下を推進してまいります。

  • 人材力の向上(人材基盤・人材育成の強化、働きがいを実感できる環境整備、人的資本経営の推進)
  • 生産性の向上(デジタル技術の積極活用等による全社的な生産性・業務価値の向上)
  • 技術力の向上(生産体制の再構築による工場の競争力強化、生産革新の推進)
  • 価値創造・開発力の向上(各BUによる新製品開発、循環型社会・気候変動対策・デジタル化に関連する研究開発の推進)

 なお、事業横断的な取り組みを含め、重点分野での事業活動をより効果的に実現していく目的から、事業部を集約する組織再編を行いました。また、製造部門においても、新たに「生産ソリューション本部」「イノベーション技術本部」「オフィスセンター」を設置し、事業部からの指揮命令系統とは別に、多角的アプローチで製造現場の生産性を高めるとともに、その施策を水平展開できる体制に変更しました。

 何よりも、収益性を改善し、継続企業の前提を確保することが、アキレスグループにおけるサステナビリティ経営上の最優先課題ですが、「人を大切にする経営」をさまざまな活動の基盤に位置づけています。
 多様な人材活用を含む人的資本経営に注力しており、制度の見直しを含め、従業員が安心して能力を発揮できる環境整備を進めています。また、企業理念である「社会との共生」=「顧客起点」を、共に重要な価値と位置づけ、持続可能な社会の実現に貢献し、社会全体の幸福度を高めていくことと再定義しており、企業の存続には、社会との共存共栄が不可欠と考えています。そのため、社会の一員として、コンプライアンスの遵守はもちろんのこと、環境対応を含め、ルール整備途上のさまざまな社会的要請にも応えてまいります。
 アキレスグループでは、2023年4月にTCFD提言への賛同を表明し、気候変動が当社事業に与える影響について情報開示を開始しました。温室効果ガス排出量の削減目標は、1.5℃シナリオを想定し、「2030年末までに2018年度比でスコープ1とスコープ2の合計排出量を50%削減する」としています。また、人権リスクに関する対応として、アキレスグループでは、人権方針を定め、従業員に対し定期的にアンケートを行っているほか、サプライチェーンに関しては、毎年、主要なお取引先様および構内業務委託先様を対象に人権リスク調査を行い、懸念事項が発見された場合は、適時適切に対処しています。
 以上のような内容を含めたサステナビリティ課題に関する企業の対応については、上場企業を対象に統一したルールに則った情報開示の義務化が検討されていることから、適時対応してまいります。
 一方で、国際社会では地政学リスクが高まり、米国トランプ政権の関税政策などにより分断が深まり、不確実性が一層高まりつつあります。企業を取り巻く環境は、外部環境の変化による不確実性が高まったVUCAの時代から、人の感情や価値観の変化も加わったカオスな時代(BANI)に変化しつつあるようです。BANIの時代では、更なるニーズの多様化や製品ライフサイクルの短命化に加えて、環境規制が進むと予想されます。この変化に迅速かつ柔軟に対応し、持続的な成長を果たす上でも、必要なスキルを備えた多様な経営人材の育成・確保が、当社グループにとっても重要になると考えています。

  • ※BANI (バニ):Brittle(脆弱)、Anxious(不安)、Non-linear(非線形)、Incomprehensible(不可解)の頭文字。VUCAの時代よりも、一層の無秩序、混沌、予測不能な状況を指す意味として使用されている。

 アキレスグループは、「中期経営計画 - FY25~FY27 -」を2030年に向けた重要なステップと位置づけ、以下のビジョン実現を目指します。世界を舞台に、アキレスならではの新しい価値を創造し提供することで、お客様に笑顔を届けたい。そして、その喜びが私たち従業員にも伝わり、自然と笑顔が広がる――そんな企業集団であり続けたいと考えています。これが私たち経営陣の強い想いです。

  • アキレスグループは、社員一人ひとりの好奇心、多様な能力、ユニークなアイデア、ひらめきを大切にし、さまざまなテクノロジーを組み合わせたソリューションで社会に貢献する
  • 世界に、驚き・喜び・感動を提供し、人々の生活を豊かにする『グローバル ソリューション プロバイダー』を目指す

2025年9月

中期経営計画‐FY25〜FY27‐