サステナビリティSustainable

ステークホルダーの皆様へのメッセージ

笑顔あふれる社会のために 代表取締役社長 日景 一郎

 「中期経営計画-FY25~FY27-」(以下、中計)は、3つの全社戦略(「選択と集中の徹底」「新たな価値の創造」「グローバル戦略の推進」)を柱に収益力の再構築・強化を目指すものですが、その初年度となる2025年度は、これらの施策が想定を上回るスピードで成果として表れた1年となりました。

 2025年度の連結業績は、売上高818億円(前年比3.4%増)、営業利益29億円(前年は4億円の営業損失)、経常利益39億円(前年は2億円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益21億円(前年比394.7%増)となり、利益面は大幅改善となりました。海外売上高についても214億円(前年比24.4%増)と大きく伸長し、営業利益率は3.6%、ROEは5.1%となりました。中計最終年度となる2027年度の営業利益目標30億円に対し、初年度にしてその目標に迫る、極めて好調なスタートを切ることができたと評価しています。

 この劇的な収益改善の最大の要因は、「選択と集中の徹底」による粗利益率の向上にあります。昨年実施した事業組織の再編以降、成長性と収益性が期待できる重点分野に経営資源を集中させました。その結果、抗体医薬品やワクチンなどの製造プロセスで需要が拡大しているメディカル分野向けフィルムや、AI需要で活況を呈するエレクトロニクス分野における半導体ウエハー搬送用・製造工程用部材の販売が大きく伸長しました。当社の強みである素材のコントロール技術と静電・クリーン技術が遺憾なく発揮され、高収益事業が海外を含め全社の業績を力強く牽引しました。

 一方で、構造改革が必要な事業領域においても課題解決に向けた取り組みを着実に進めています。シューズ事業においては収益性改善を最優先とし、不採算領域からの撤退や高付加価値製品への絞り込みといった「4P戦略」を断行した結果、売上高は減少したものの、営業損失を前年に対して約6億円縮小することができました。また、車輌資材事業では、中国市場の動向を踏まえた事業構造の最適化を進める一方で、成長分野へのシフトとして北米を中心に航空機向けの高い難燃性の拡販も進めました。また、防災事業においては想定計画への遅れにより約9億円の減損損失を計上いたしましたが、筋肉質で利益を生み出しやすい体質に転換するための健全化プロセスであると認識しています。

中期経営計画の定量目標

2024年度実績、2025年度計画・実績、2027年度計画、2030年度イメージの売上高、海外売上高、営業利益、営業利益率、ROE

 全社戦略を着実に推進し、持続的な成長を実現するためには強固な事業基盤が不可欠です。特に、昨年製造部門に新設した「生産ソリューション本部」「イノベーション技術本部」「オフィスセンター」が機能し始め、多角的なアプローチで事業基盤の高度化が進展しています。

  • 人材力の向上 多様な人材が能力を最大限に発揮できるよう、人的資本経営を推進しています。人事総務本部を中心に、時間単位有休や育児制度の拡充など、多様な働き方を支える環境整備を進めるとともに、経営計画の実現に資する次世代リーダーの育成強化に取り組んでいます。
  • 生産性の向上 生産ソリューション本部が主導し、工場間の垣根を越えた全社最適の視点から生産性の向上を図っています。画像データのAI判定モデル構築による検品プロセスの自動化や、プロセスインフォマティクスによる製造工程の最適化など、DX(デジタルトランスフォーメーション)投資を拡大し、飛躍的な業務効率化と原価低減を推進しています。
  • 技術力・価値創造・開発力の向上 イノベーション技術本部を中心に、社会課題の解決に直結する新製品開発を加速しています。一例として、新設計の生分解性能を備えた『ビオらいと』(マルチフィルム)は農業従事者の負担軽減と環境保全の両立に貢献し、また、高い遮熱性と透明性を両立したフィルムは建物や生活空間での快適性向上と省エネ推進の両立に貢献しています。さらに、次世代半導体分野において不可欠とされるガラス基板への高密着ポリピロールめっき技術の開発など、未来の収益源となるイノベーションの創出に注力しています。

 順調な業績回復を果たすことができましたが、足元の事業環境は、地政学リスクに鑑み決して楽観視できるものではないと認識しています。中東情勢の緊迫化は、ナフサ由来のプラスチックを主原料とする当社にとって、原材料調達やエネルギーコストに大きな影響を及ぼすものであります。この状況の克服に向け、調達面においては、サプライヤー様との連携を深め、調達先の分散化や代替品の活用など、柔軟な供給体制の構築に努めています。コスト面においては、お客様への丁寧な説明を前提に適正な製品価格への改定を図るとともに、集約生産による材料費やエネルギーコストの削減など自社内の原価低減活動を進め、リスクへの耐性を高めています。

 2026年5月12日に公表した2026年度連結業績予想は、売上高825億円、営業利益22億円、経常利益20億円、親会社株主に帰属する当期純利益13億円の増収減益予想としています。未来の成長につながる設備投資や人的資本経営の推進、DX投資といった「戦略的な先行投資」コストを織り込んだ関係もありますが、全体としては、不確実性が高まる事業環境を踏まえ、慎重かつ堅実な計画としています。なお、中東情勢による影響は合理的な算定が困難であるとして織り込んでいませんが、原価低減活動や販売価格の適正化等により、計画を上回る業績達成に努めてまいります。

2024年度実績から2030年度イメージまでの売上高と営業利益の推移

 アキレスグループにおけるサステナビリティ経営の最優先課題は、収益性を改善し持続的成長への道筋を確固たるものにすることですが、その基盤となるのは企業理念にある「社会との共生」です。

 気候変動対応については、TCFD提言に基づく情報開示を継続し、「2030年末までに2018年度比でスコープ1とスコープ2の合計排出量を50%削減する」という目標に向け、工場への設備投資や電力のリアルタイム管理による省エネ施策を推進しています。

 また、人権リスクに関しましても、サプライチェーン全体を含めた定期的な調査と適切な対処を継続しています。

 ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みは、持続的な成長と新たな収益機会を創出する「未来への投資」であると確信しています。例えば、脱炭素社会の実現に向けた省エネ規制の強化は、当社の「高性能断熱資材」の需要を拡大することにもつながります。また、夏の猛暑という社会課題に対しては、快適性と省エネを両立する遮熱製品「アキレス ソーラークリア」を開発し、新たな市場を開拓しました。社会の「困りごと」を当社の技術で解決し、それを新たなビジネスとして確立していくことこそが、私たちが目指すサステナビリティ経営の真髄です。

 企業を取り巻く環境は、不確実性が高まったVUCAの時代から、人の感情や価値観の複雑な変化も加わったカオスな時代(BANI)へと移行しつつあります。このような時代において持続的な成長を果たすためには、変化に迅速かつ柔軟に対応できる組織力と、それを支える多様な人材が不可欠です。

 私たちは中計を通じて、『稼ぐ力』を取り戻しつつあります。この歩みを止めることなく、継続的かつ安定的な配当を基本としつつ、自己株式取得などの機動的な株主還元にも配慮し、資本効率の向上と企業価値の最大化に邁進してまいります。

 世界を舞台に、アキレスならではの新しい価値を創造し提供することで、お客様に笑顔を届けたい。そして、その喜びが私たち従業員にも伝わり、自然と笑顔が広がる企業集団であり続けたい。「Vision 2030」の実現に向けたアキレスの新たなステージでの挑戦に、どうぞご期待ください。

中期経営計画の全体像

2030年度に目指す姿(Vision 2030)と中期経営計画の全体像

2026年9月

中期経営計画‐FY25〜FY27‐