CSRSustainable

トップメッセージ

人と環境にやさしく快適な生活空間を創造する企業を目指して 代表取締役社長 伊藤 守

 戦後、諸先輩たちが国の再興を願い化学の力を生かし社会に貢献する事業を展開するために、社名を興国化学工業として、当社の礎を築きました。そして、その精神を企業理念「社会との共生」=「顧客起点」として引き継いでいます。

 何のために会社が存在するのか、存在すべきかを問うことが大切であり、そのベースとなるものは常に「人」です。私たちアキレスグループが追い求めるものは、人々に寄り添う製品やサービスに、磨き上げた技術力でより良い社会を造るための革新を起こすことです。当然時代は変化し、その時々に応じた製品やサービスが求められるでしょう。お客様の声を真摯に聞き、素早く製品化する、そのような企業であり続けたいと思います。

 また、気候変動などがもたらす「自然災害」に対しても、アキレスグループの事業力がお役に立てるよう注力していきます。

 繊維業を祖業として出発したアキレスですが、その織物とゴムなどのプラスチックを複合化することで、新たな材料を作り上げ、シューズ、車輌内装材などに展開してきました。また、先人たちが新たな素材を求め海外からウレタン技術を導入し、クッション材や断熱材などの素材を作り上げ、多角的事業を推進した結果、今日のアキレスがあります。アキレスの製品や技術は幅広く、シューズから半導体関連まであり、さらに医療分野などにも展開しています。

 一つの事業や技術を深掘することも行いながら、新たな技術も導入・開発して重層した基盤を作り上げているのがアキレスのDNAではないかと思っています。私自身も研究開発出身であり、当時は海のものとも山のものとも知れない導電性ポリマーの研究を認めてもらった鷹揚さがあり、後のHDD部品製造にもつながりました。同じように多くの従業員が「あきらめなイズム」の姿勢で仕事に取り組んでいると思っています。

 シューズ事業は、たいへん厳しい環境にあります。その要因の一つが少子化です。2020年度の出生率(合計特殊出生率)は1.34であり、生まれた子どもの数も減少し、84万832人と1899年の調査開始以来最少となりました。

 通学履きや校内履きなどの子ども靴を主力とする当社にとっては、市場規模の収縮に加えて、海外有名ブランドの子ども靴への進出により、競争が激化しています。さらに、新型コロナウイルス感染症の蔓延が続く中、消費行動が変化し百貨店・大型スーパーなどのリアル店舗での販売に苦戦しています。一方でeコマースやテレビ通販などが急激に拡大しています。このような環境下において、当社は、子ども靴「瞬足」と話題の「鬼滅の刃」とのコラボ製品や、コンフォートシューズの革靴「アキレス・ソルボ」、ならびに新たな高反発素材を採用するなど、当社独自の素材力で存在感を示せるよう注力していきます。

 プラスチック事業は、「脱プラスチック」の逆風が吹く中で、飛沫防止対策用フィルムや医療用フィルムなど、これまでのプラスチック加工技術を背景に新しい市場に製品を投入することができました。もちろん、従来の製品については製造プロセスの見直しで省資源化を進め、さらに原材料のバイオマス化、生分解性樹脂の採用を積極的に進めています。

 産業資材事業では、寝具などの軟質ウレタン、断熱材の硬質ウレタンの需要が高まり、生産設備の最新化を図るとともに、全国にある製造拠点を生かし物流コストの低減を図っています。

 今後の戦略として脱炭素社会に向けた事業の強化を図っていきます。省エネを追求した住宅のための断熱資材事業では断熱性能の向上のための研究を推進するとともに、設備の最新化を図ります。これらの投資により、一段と安定した製品の供給体制が整うことになります。断熱性能の優れた家のLCCO2は断熱性能の低い家に比べて、冷暖房に伴うエネルギー消費を大幅に削減できるため、今後も大きな成長分野として注力していきます。

 また、種々ある社会的課題について当社が取り組むべきこととして高齢化対応事業(特定施設の安全性や健康増進)、食品ロス対策(保存期間の延長を確保する包装材や低温保管のための断熱材)、国内農産品の育成(生分解性フィルム、保温材)であり、転んでもケガをしにくい床材などの製品開発、歩行を促進するシューズの製品化、農業用生分解性マルチフィルムに注力していく考えです。特に世界的潮流にもなっている生分解・海洋分解性フィルムの配合研究は大学との共同研究も行いながら、設備投資も随時行っていくつもりです。

 海外投資につきましては、国内で培ってきた実績と顧客との信頼関係をもとに積極的に行っていきます。2022年春に車輌内装材の量産を開始する予定の新工場(中国・広東省佛山市)は、お客様である自動車メーカー各社の中国国内調達比率の向上に貢献できると期待しています。

  • ※設計・企画から廃棄まで建物の全生涯で発生するCO2総排出量のことです。

 アキレスの製品やサービスは「人」の身近にあり、寄り添っているのが強みと考えています。アキレスグループとしては「人と環境にやさしく快適な生活空間を創造する企業」を目指しており、会社の基盤を強くするためにもガバナンス体制を適宜見直しています。

 近年、大きな地震に加え地球温暖化の影響と思える豪雨・台風など自然災害が発生しています。まさに快適な生活空間が脅かされています。万が一災害が起こっても、最少の被害で済むように当社が持つ技術を生かして人命を救助するゴムボートの開発や避難テント、避難施設での日常生活用品(寝具、トイレ、室内履き、簡易入浴設備など)を開発、製造する「防災事業」に注力していきます。

 アキレスグループはプラスチック加工を「生業」としている中で、世界的に脱炭素社会への転換が求められていることは十分理解しています。

 しかしながら、プラスチックの良さも十分認識されており、プラスチックが果たす最低限の役割があると考えます。それは、技術的進歩によって支えられ、例えば従来よりも厚みが10%薄くなっても強度は変わらないフィルム、耐用年数がこれまでは5年だったが、10年保持できるようになったプラスチック容器などを考えれば、現時点でも総量としてプラスチックの減量(ある意味での脱プラ)に寄与していると思います。

 当社グループが扱う全ての原材料について同様の使用削減を定め、将来確立される非プラスチック材料について原材料メーカーとも開発を進めていくつもりです。

 冒頭でも述べましたが、アキレスは何のために存在しているのかを考えたときに、当然ですが、「なくてはならない存在になりたい」と考えています。シューズでは学校生活でなくてはならない存在、車輌内装材では航空機内装材の軽量化に役立つ素材、アキレスの医療用フィルムの品質は世界最高、高速ゴムボートは世界トップクラスで人命救助になくてはならない存在、壁紙は安定した家づくりに役立つ、軟質ウレタンの寝具の寝心地は最高、断熱性能は世界トップ、半導体容器も世界で認識された商品、アキレスしか作れない素材……このような事業を進めてこられたのは、ステークホルダーの皆様からの支えがあったからです。

 株主や投資家の皆様からの用途情報、多方面にわたる原材料や技術を紹介してもらえるお取引先、そして絶対に自分の作ったものをお客様に届けるという強い思いを持った従業員に支えられて、今のアキレスがあります。

 この従業員の力こそが、明日の新しいアキレスを生み出します。今後も新しいアキレスにご声援をよろしくお願い申し上げます。

2021年9月